残業代請求のために集めるべき証拠は何?弁護士がわかりやすく解説

この記事のポイント

・残業には、法定時間内、法定時間外、休日、深夜労働の4種類がある。
・残業代請求のために集めるべき証拠は、(1)雇用契約の内容がわかる証拠、(2)就業規則に関する規定の写し、(3)賃金の支払に関するもの、(4)労働時間に関するものがある。
・雇用契約書や就業規則、給与明細書、タイムカードなどを集めておくとよい。

未払いの残業代請求をするためには、どのような証拠を集めるかが、重要です。
集まった証拠の内容により、回収できる残業代の金額が変わることもあります。

そこでこの記事では、残業代請求で集めるべき証拠について弁護士が解説します。

未払いの残業代請求って何?

労働者が残業した場合、会社は残業代を支払わなければなりません。
具体的には、残業には以下の4種類があります。

  • 法定時間内残業
  • 法定時間外労働
  • 休日労働
  • 深夜労働

これらの残業に対して、会社が本来支払うべき残業代を支払っていない場合、労働者に未払い残業代を請求する権利が発生します。

(1)法定時間内残業とは

「法定時間内残業」は、所定労働時間(労働契約で定められた定時)を超えているけれども、原則1日8時間、週40時間を超えない残業(労働基準法上の割増賃金の対象とならない残業)のことをいいます。

たとえば、1日7時間労働で週35時間勤務の労働者が、1日8時間労働で週40時間勤務をしたときの残業5時間分は、原則として法定時間内残業となります。

(2)法定時間外労働とは

労働基準法では原則として1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めています。
この法律上の労働時間を超えて行われた労働を「法定時間外労働」といいます。なお、後述の休日労働における労働を除きます。

(3)休日労働とは

原則として週1回の法定休日の労働のことをいいます。

(4)深夜労働とは

22時~翌朝5時までの労働のことをいいます。

残業代の計算方法は?

残業代の計算方法は、以下のとおりです。

【法定時間内残業】
残業代=1時間あたりの基礎賃金×法定労働時間内の残業時間数×会社独自の割増率(※)

※法定時間内残業に対する会社独自の割増率が定められていないときは、割増率は1として計算

【法定時間外の残業】

  • 時間外労働

残業代=1時間あたりの基礎賃金×時間外労働の時間数×残業の種類に応じた割増率

  • 休日労働

残業代=1時間あたりの基礎賃金×休日労働の時間数×残業の種類に応じた割増率

  • 深夜労働

残業代=1時間あたりの基礎賃金×深夜労働の時間数×残業の種類に応じた割増率

これらの残業代を計算するためには、基礎賃金や残業時間を確認しなければなりません。そのため、証拠が必要です。

集めるべき証拠について、以下で詳しく説明します。

残業代請求で集めるべき証拠って何?

残業代請求で集めるべき証拠は、大きく分けて次の4つです。

  • 雇用契約の内容がわかる証拠
  • 就業規則に関する規定の写し
  • 賃金の支払に関するもの
  • 労働時間に関するもの

これらにつき詳しくご説明します。

なお、以下でご説明する証拠のほかにも、証拠として使える場合がありますので、「少しでも使えそう」と思ったら広く証拠を集めることをおすすめします。
迷ったら弁護士に相談しましょう。

(1)雇用契約の内容がわかる証拠

会社によって、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働時間制などさまざまな雇用形態をとっています。残業代の計算方法は、この雇用形態によって異なります。

また、残業代を計算するうえで、始業時間・終業時間、賃金に関する情報が必要です。

これらの情報を確認するために、雇用契約の内容がわかる証拠を集めましょう。
雇用契約の内容がわかる証拠としては、たとえば次のものがあります。

・雇用契約書
・労働条件通知書

(2)就業規則に関する規定の写し

就業規則にも、通常、所定労働時間や休日、残業代の割増率など、残業代を計算するうえで重要な情報が記載されています。

そのため、就業規則に関する規定の写しも集めましょう。
就業規則に関する規定には、たとえば次のようなものがあります。

・就業規則
・就業規則変更届
・賃金規定

(3)賃金の支払いに関するもの

給与明細など、賃金の支払いに関する書類は、残業代がいくら支払済みなのか、基礎賃金はいくら支払われているかといったことなどを知るために重要な書類です。

そのため、賃金の支払に関する証拠を集めましょう。
たとえば、次のようなものがあります。

・給与明細書
・賃金台帳の写し

※賃金台帳は会社が保有しているので、弁護士に依頼し、弁護士が会社に開示を求めるという方法もあります。

(4)労働時間に関するもの

残業時間は、何時間労働させられたかにより決まります。
そのため、労働時間に関する証拠が重要です。

労働時間に関する証拠には、たとえば次のものがあります。

• タイムカード
• タコグラフ

• 日報
• Web打刻ソフトのスクリーンショット
• 出勤簿
• 出勤時間、退勤時間を詳細かつ1分単位で正確に記載したメモ・ノート

なお、証拠のとしての強さはものによって異なるため、なかには、単独だと証拠としての価値が低い場合もあります。ただし、複数の証拠を組み合わせることにより、証拠としての価値を高めることができる場合もありますので、可能な限り集めておきましょう。

※たとえば、電子メールが、職場の外からも送信できる場合は、電子メール単独では、「その送信時刻までずっと労働していた」ということを立証することは難しいです。

【まとめ】残業代請求で困ったらアディーレ法律事務所に相談を

このように、残業代請求にはさまざまな証拠が必要ですので、広く証拠を集めるようにしましょう。
退職してしまうと手に入りにくい証拠もあるので、在職中に集めるとよいでしょう。

未払い残業代請求でお困りの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

この記事に関連するよくあるご質問

残業代は、いつまで遡って請求することができますか?

労働基準法では、未払い分の賃金について、時効により3年で消滅すると規定しています。ここでいう「賃金」とは、労働の対償として支払われるものすべてをいいますので、残業代も含まれることになります。そのため、残業代も請求できるようになってから3年経過すれば、時効で消滅することになります。

ただ、例外的に3年以上前の分について請求できる場合があります。たとえば、時効が更新された場合には、更新の時からさらに3年経たなければ時効にはかからないので、それ以上前の分でも請求できることになります。
時効が更新したとされるのは、時効の期間が経過するよりも前に、労働者が裁判などで未払い残業代を請求した場合や、使用者が支払義務のあることを認めた場合などです。

また、時効の期間を経過していても、使用者が時効を利用できない場合もあります。これは、時効の期間が過ぎたあとに使用者が支払義務を認めたような場合で、一度、支払義務を認めてしまうと、その後に「やはり時効だから支払わない」とは言えなくなるのです。

どのような資料であれば、残業したことを証明できるのでしょうか?

一般的には、タイムカードや業務日報といった資料が残業の証明となります。

ただし、労働事件において証拠となるものには、特に制限がありません。
たとえば、以下のようなものも場合によっては証拠となり得ます。

・日記やスケジュール帳
・会社で使っているパソコンのログイン、ログアウト情報
・自分で書いたメモ(仕事の時間帯や移動方法、仕事で行った場所、仕事の内容など)
・FAXの送信履歴
・会社から家への「帰るよ」というメールの送信履歴

とはいえ、やはりタイムカードや業務日報といった勤怠管理資料があったほうが、請求はスムーズに進みます。「資料が手元にない…」という方でも、弁護士に依頼すれば、裁判所を通じて会社側に資料の開示を求めることもできますので、まずはお気軽にご相談ください。

会社から「うちはみなし残業制だから残業代は支払わない」と言われてしまいました。この場合、残業代は請求できないのでしょうか?

みなし残業制だからといって、それだけで「残業代が請求できない」ということにはなりません。

みなし残業制とは、実際の残業時間にかかわらず、定額で残業代を支払っていることを意味する制度です。
労働者と会社との間での合意ができており、通常の賃金部分と残業代などの手当部分が明確に区別されているなど、一定の条件を満たしているのであれば、残業代を定額の手当として支給することに問題はありません。

また、この制度では、所定の残業時間をあらかじめ想定して手当を支払うことになるので、仮に残業をしなかったとしても定額の手当を受け取ることができます。

みなし残業制については、特に法律の規定があるわけではないので、この制度を採用したからといって本来支払うべき残業代のカットが認められるわけではありません。そのため、残業時間が想定よりも長くなり、手当として定められた金額以上の残業代が発生した場合は、残業代を請求することができます。

なお、未払い残業代の請求を行う際には、タイムカードなど、残業をしていた事実を証明する証拠が必要となりますので、あらかじめコピーするなどして証拠を集めておくことをおすすめします。

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この記事の監修弁護士
髙野 文幸
弁護士 髙野 文幸

弁護士に相談に来られる方々の事案は千差万別であり、相談を受けた弁護士には事案に応じた適格な法的助言が求められます。しかしながら、単なる法的助言の提供に終始してはいけません。依頼者の方と共に事案に向き合い、できるだけ依頼者の方の利益となる解決ができないかと真撃に取り組む姿勢がなければ、弁護士は依頼者の方から信頼を得られません。私は、そうした姿勢をもってご相談を受けた事案に取り組み、皆様方のお役に立てられますよう努力する所存であります。

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